女性起業家を応援するヒューマンネットワーク新聞マガジン「わんからっとL」

わんからっとL 73号

2014/05


<夫婦で起業>(株)大丸トレーディング

 一昔前、アグネスバッシングと言われることがマスコミに話題になりました。そう、あのアイドル歌手アグネス・チャンさんが子連れで仕事場から仕事場へと、どこにでも連れていくといった芸能界では前代未聞の子育て論議。その結論は、論じるまでもなく職場に子どもを連れてくるのは、いつの時代もわきまえなければならないことが多いし、周りの人にも迷惑をかけることになってと…。
 託児所待機児童の数が絶えないのが今の時代に至ります。しかし、職場が自営であったら、どうにかやれるかな?といったところで始まった、佐藤貴之社長と浜知美副社長の家族いっしょのワーク&ライフ。環境の中で子どもは育つ―。2人のお子さん海優(みゆ)ちゃんは会社を“遊び場”と宣言しています。至ってシンプルです。今回は、2人がこれまで築き上げてきた家族いっしょのワーク&ライフを伺ってきました。

PROFILE─
徳島県生まれ。小さい頃からアナウンサーを目指して、KHB東日本放送に入社。12年間、アナウンサーを務める。KHB系列製作会社で番組のディレクターをしていた佐藤貴之さんと出会い、30歳で結婚。平成20年に長女海優ちゃんが生まれる。平成23年9月に退社しariTV(株)に移籍。現副社長。現在は次女優花ちゃんが生まれ、2児の母となり子育てしながら仕事に奮闘中。

─KHBアナウンサーから新しく起こしたariTV(株)へどうして移籍したのですか?

●─ 夫は「自分の作りたい番組を作って、もっとたくさんの人に喜んでもらいたい」という思いがあったので、付き合っていた頃からいつかは独立するだろうと感じていました。私もその思いは同じでしたね。起業したばかりの時は収入がなく、私も育休を終えた時期だったので仕事に復帰しました。
 ariTV(株)も徐々に軌道に乗り始めた頃、3・11東日本大震災が起きました。いつかは一緒に仕事をしたいと漠然と思っていましたが、震災を経験して人生は1度しかないし、今やるしかないな!と腹をくくり、そして私自身家族とともにariTV(株)を通して東北を元気にしたいと決心し移籍しました。
 

─今のお気持ちはいかがですか?

●─ 今は次女がまだ1歳なので、ここ1年は子育てと両立しながらですね。取材の時に娘を連れて抱っこしながら、カメラマンやインタビューをすることもあります。現在、アナウンサー、ディレクター、営業、経理の他、会社経営など全てやっています。
 家事・育児・仕事は夫婦分担制でやっています。社員の中にも実際子連れで出社している者もおりまして、“職場に子どもと一緒にいられる会社”“育児ができる会社”の実現を目指しています。一番大変なこと、負担なこと、勤務状態、仕事の仕方など現在私が実験的にやっている状況です。実際、母親の身体的負担はとても大きいですね。でも父親が一緒にいれば、だいぶ軽減されます。保育園に預けることができず、子育てのために働くことのできないお母さんたちがたくさんいると思うので、そんなお母さんたちのためのモデルケースを作っていけたらいいなと思っています。夫婦でなくてもお母さん同士でシェアしていける会社があったらいいなと。
 子育ても会社経営も立ち止まってはいられません。毎日一生懸命、頑張っています。お客様には100%ではなく、120%満足して頂けるものを作り喜んでもらえるよう、一つ一つ結果を残して信頼を得ていきたいです。
 もう一つ我々が目指すものは、3・11東日本大震災による風評被害を打破するために、インターネットを通じて世界に仙台市や東北の魅力を発信していくことです。例えば産業振興を目的としたとうほく復興カレンダーを製作し、被災しながらも頑張っている企業様を動画やブログで日英二カ国語で毎日配信しています。世界に映像を届けることを考えると、夢がどんどん拡がりますね。また、仙台市からの委託事業として観光DVD、コンベンションDVD、パンフレットなどの製作、現在は「秋保の町おこし」として動画配信をするほか、工芸の里に常駐して活性化に努めています。
 少しずつですが、仕事の幅が広がっています。地域に貢献できる仕事なので毎日がとても楽しいです。  


PROFILE─
KHB系列製作会社に務めた後、平成22年4月に独立してariTV(株)を立ち上げた。

─仕事への思い

●─ アリとは…アリんこ、アリがとう、なんでもアリなど色んな意味があります。
 スポンサーがあるから製作するわけではなく、自分たちがやりたいことをやる・やるべきことをやっています。
 仕事は、動画を見たという方から依頼されることが多いですね。地域や人のために自分たちができることをして、それが仕事につながっていけばいいなと思います。テレビ番組を作れる仲間を増やしインターネットで世界中に地元の魅力をたくさん伝えたいですね。現在は実験的に7ヵ国語で配信しています。

─「家族一緒の仕事」を選んだ理由は?

●─ 3・11 東日本大震災がきっかけです。その日はちょうど取材で家族3人で八戸に出張に行っていました。一緒にいたからこそ迅速な対応ができたし、もし出張がなければ、夫婦別々の仕事をしていて娘は保育園にいるか、日課である私の両親と荒浜を散歩していたかもしれません。それを考えると家族ばらばらになっていたら、どうなっていたかわからなかったですし、実際亡くなってしまった親戚もいたので、一緒にいるということの大切さを痛感しました。そしてこれからは、できる限り家族は一緒にいようと決めました。

─仕事と子育ての、両立について

●─ 一日6時間ぐらいは赤ちゃんを抱っこしながら仕事をしていますね。子育てをしながら仕事をすることは、自営業でもあるし、家族なので当たり前。お互い協力し合ってやっています。子育ては自分の思い通りにならないので、仕事より大変です。でも自分の子なので、その大変さも苦になりませんね。そして職場に子どもがいる環境を理解、受け入れてくれる立ち上げ当初からの仲間がいることが、とても心強くてありがたいです。
 そんな仲間のためにも、働きやすい環境を作っていければと思っています。




会社概要 アリティーヴィー株式会社
■創  業:平成22年4月1日「ari TV」を開局
■事業内容:
 @ariTV関連事業(インターネットテレビ局ariTVの企画・制作・運営)
 A映像媒体関連事業(テレビ番組・企業VP・CM・映像関係の企画・制作)
 Bインターネット媒体関連事業( 動画制作・ホームページ制作・コンサルティング)
 Cイベント関連業務(イベント企画・運営)
 D商品の販売(オリジナルグッズ・Tシャツ企画制作・デザイン業務)
■経営理念:

物事は常に素直に正直に前向きに捉えることを前提とし、どんな困難なことも仕方ないとは諦めず仕方アリと考え可能性が1%でもある限りどうすれば出来るのか挑戦します。
従業員:21名(アルバイト含む)

■ホームページ:http://www.ari-tv.jp/


   

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異業種を越えた起業家向け情報ネットワーク新聞マガジンを創っていきます。

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道をひらく


自分には
自分に与えられた道がある
広い時もある
せまい時もある
のぼりもあればくだりもある
思案にあまる時もあろう
しかし 心を定め
希望を持って歩むならば
必ず道はひらけてくる
深い喜びも
そこから生まれてくる

   松下幸之助「道をひらく」から
   (PHP研究所出版)
編集長

 道とは、なんだろう。できれば“志”を持って未知なる未来の自分の道を、常に、明るく進んでいこう。コツコツと一歩一歩と。
 おかげ様でわんからっとLも今年で18周年になりました。18年。続いてこられたことは、本当に奇跡に近いと思っています。でも、休まずに続けていくとできるんですね。
 これからもさらに、努力と創意工夫を積み重ねて他社にはできないきめ細やかなフットワークで、地域情報誌を作っていきたいと思います。

わんからっとL編集長
小泉知加子